バトルテック/メックウォーリア
TRPGリプレイ
バトルテック/メックウォーリアTRPG リプレイ 2000年5/28

《現代編》
「第2話 〜10年前A〜 3050年 ラドスタットに集う」

《キャラクター紹介》(50音順)

ジーン准尉  射撃/操縦基本値=6/6
 体力7 敏捷7 知性8 魅力4
 特徴:「水恐怖症」「痛みへの耐性」「大学出身」
 乗機はラプター(25トン)。
RTX1−0A ラプター Raptor 25トン
 移動力7/11/0。装甲値56。放熱能力20。武装は2×大口径レーザー、3×小口径レーザー。オムニメックです。
体力度7というのは実はパーティで一番打たれ強い。高機動力で高攻撃力のラプターを操るスピードファイター。

トーマス少尉 射撃/操縦基本値=6/6
 体力4 敏捷7 知性8 魅力7
 特徴:「水恐怖症」「痛みへの耐性」「大学出身」
 乗機はリンクス(55トン)。
LNX−9R リンクス Lynx 55トン
 移動力5/8/5。装甲値185。放熱能力30。武装はER−PPC、ER−大口径レーザー、4×中口径レーザー。
この部隊の小隊長。攻防のバランスの取れた秀作機リンクスを操る。

フェイミン軍曹 射撃/操縦基本値=6/5
 体力2 敏捷7 知性7 魅力8
 特徴:「水恐怖症」「痛みへの耐性」「ガラスの顎」「格闘の達人」「エッジ1レベル」「天性の才能=盗賊技術」
 乗機はノ=ダチ(70トン)。
NDA−1K ノ=ダチ No−Dachi 70トン
 移動力は5/8/0。装甲値192。放熱能力20。武装はER−PPC、2×MRM20、中口径レーザー、SRM4、SRM2、メック用ソード、TSM内蔵。
メックによる格闘を得意とする肉弾戦ファイター。乗機も接近戦に強いクリタ家特製メック、ノ=ダチである。エンドゥースティールと三重強化結合筋(TSM)で中枢が作られているため、修理費はとんでもない額になります。また、唯一、実弾兵器を装備していることもあり、パーティの金食い虫です。
 

《プレイ前》

トーマス「だれも成長はありません」
ジーン「追加のエッジは取れるけど」
フェイミン「いや、エッジはとる必要は全くない技能だから。エッジを一つ取るために500点の経験点が必要だけど、それだけあれば+5のダイス目修正を4回も行なえる(今回のキャンペーンではダイス目の修正±1につき経験点25でおこなっている)。エッジは1シナリオに1回しか行なえないから、エッジを取るくらいなら、利用可能経験点として残しておいた方が、得」
ジーン「そうなんだ」
GM「おいおい、エッジはダイスの結果を見て、それから振り直せるから強いんだぞ」

 この時点では覿面にこのシナリオでこんな結果が待っているとは、だれも思っていませんでした。
 

《導入》

GM「前回のシナリオの最後にクリタ家のドラコ連邦首星ルシエンをめざしましたが、その帰路のことです。星系から星系へとジャンプを繰り返してルシエンへ向かうんだけど、その途中にタートルベイという星系を通りがかった時です。みんな知性度ロールをしてくれるかな」
ジーン「成功」
GM「じゃあ、ジーンがこの星系の居住可能惑星タートルベイを映し出したモニターを眺めていると、惑星表面で高エナジー反応が検出されていることに気づいた」
ジーン「何ですか?」
GM「どうやら惑星表面で大規模な爆発が起きているようだ。星系情報をチェックしていたカタクラ氏が『軌道上に氏族(クラン)の戦艦を確認した。どうもこいつは衛星軌道上からの爆撃のようだぜ。爆撃されているあたりはエド市のあたりだな。あれじゃあ、ほとんど生存者はいないだろう。可哀相にな』と報告する」
フェイミン「氏族にはアレス条約なんてないからなあ」
GM「『とにかく、おれたちでは戦艦を何隻も相手にすることはできない。ここは早々にジャンプするぞ。それにして、ゾーターミーアの件といい、今回の件といい、このままでは済まないだろうな』」
 

《本編》

GM「あれから数ヶ月。クリタ家との契約期間が終わって、君たちは連邦共和国のビクター=シュタイナー=ダビオンに仕えている。そして、ある日、ビクター=シュタイナー=ダビオンに全員が呼び出される。」
トーマス「任務ですか」
GM「『そのとおりだ。君たちに初めての任務を与える。隣国の自由ラサルハグ共和国へ潜入し、フェランという人物を救出してもらいたい』」
ジーン「救出作戦ですね」
GM「『そうだ。そのフェランという人物を救出し、氏族(クラン)の領域へ送り届けるのが今回の任務だ。』」
トーマス「はあ? 氏族に送り返すんですか?」
GM「『詳しく説明しよう。フェランという人物は氏族(クラン)の中でも最大の氏族・ウルフ氏族の有力者だ。そして中心領域よりの人物であり和平派でもある。彼を氏族(クラン)に帰還させることで、氏族(クラン)の和平派の力を増すことができるはずだ。うまくいけば、この戦争を停戦させることもできるだろう』」
フェイミン「フェランはいま、どこに?」
GM「『現在、フェランは自由ラサルハグ共和国の首都ラサルハグからラドスタット星系へ移送中とのことだ。
 ここ数ヶ月の氏族(クラン)の攻撃で、自由ラサルハグ共和国の領土のほとんどは占領されている。しかし、首都ラサルハグ周辺だけはいまだに抵抗を続けている。それでもあと何ヶ月もつか分からないだろう。そこで今のうちに後方に移送してしまおうということらしい。といっても、ラドスタットも氏族(クラン)の軍艦が堂々と通過していくような前線だが。戦略的な価値は薄く、いきなり攻撃されることはないだろう、と考えているようだ。
 脱走のための手段・方法は問わない。君たちの作戦に全てを任せる。この作戦には君たちとも面識があるカタクラ=ススム氏とティラ=ミラボーグ氏も参加する。2人は気圏戦闘機のパイロットとしても優秀だ』
 ちなみにカタクラ=ススムはクリタ家の工作員で、ティラ=ミラボーグは自由ラサルハグ共和国の武官候補生。2人ともそれぞれの国の軍人の身分を持ちながら、ビクター=シュタイナー=ダビオンの下で動いている」
トーマス「自由ラサルハグ共和国の軍人がいるのは心強いな」
GM「『自由ラサルハグ共和国内の惑星コーベまで送る手配はついている。あとは君たちが動いてくれ。航宙船1隻・気圏戦闘機2機を貸与する。
 なお、今回の作戦は完全に非公式のものである。君たちが捕らえられた場合、当局は一切関知しない。自力で脱出するように。以上』」
ジーン「コーベ?」
フェイミン「公式設定に存在するんだ。そういう名前が。エドもね」
GM「ちなみにフェラン移送の日程はこれね」

 10/20 ラサルハグ発
 10/22 ドーン着
 10/23 ファーレイテン着
 10/24 エンガディン着
 10/25 ラドスタット着

トーマス「急げばどこで出会えるかのな」
GM「コーベを即日発てば、ドーンで鉢合わせするくらいだね」
ジーン「最初の方は警戒しているだろうから、もっと後の日程で襲撃しよう」
トーマス「エンガディンくらいか」
ジーン「すると、コーベで2日間情報収集できる」
フェイミン「それでいこう」

GM「では、惑星コーベです」
フェイミン「情報屋は見つかるかな?」
GM「<交渉=聞き込み>で判定してくれるかな」
フェイミン「成功」
GM「それならある通りに面した酒場の奥の部屋にそういう商売をしている人がいる、ということをその筋から聞きつけてきた」
フェイミン「さっそくいこう」
GM「酒場で合い言葉を言えば奥に通される。小さな部屋の中で40がらみの男が出迎えるよ。『何か用かい。ここへ来たってことは知りたいことがあるんだろう』」
フェイミン「捕虜になっている氏族の有力者について知りたい」
GM「『おれが知っているのはフェランという人物についてくらいだが』と言いながらこう(お金の手つき)」
フェイミン「こういったものの相場っていくらくらいなんですか?」
GM「100CBくらいかな」
トーマス「そのフェランという人物がラサルハグからラドスタットへ護送されるそうだが、その護衛について知りたい」
GM「『ふむ。なかなかすごいぞ。戦艦1隻に気圏戦闘機4機だ。各星系へジャンプした後で、太陽光で充電するためにジャンプポイントに数時間とどまるようだ。』」
フェイミン「だあ。戦艦の相手はできないぞ」
ジーン「惑星には降りないの」
GM「『そう。襲撃するのなら宇宙空間で、だな』」
フェイミン「気圏戦闘機で戦艦にしのびよって、潜入して、救出して、気圏戦闘機で脱出。ちょっと危険か」
トーマス「それよりも地上に降りたところを襲撃した方がいいな」
ジーン「じゃあ、ラドスタットで待ち構えよう」

 せっかく戦艦の見取り図も書いたのだけどね。と言っても、使うことはないだろうと思っていたけど。

フェイミン「ラドスタットのレーダー網をかいくぐって降下船をおろす道はあるのかな」
GM「『それなら知り合いの密輸屋を紹介してやろう』」

 PCたちはレーダー網の穴を抜けて直接降下船を着陸させる方法を選びます。この手段なら民間の商船に偽装して宇宙港に降りるよりも、メックを自由に運用できるという利点があります。

GM「さて、惑星コーベでちょっとしたニューズが入ってくる。『数ヶ月前、氏族(クラン)の構成員のひとつスモークジャガー氏族が惑星タートルベイに対して衛星軌道上から爆撃を行なった。その際、核兵器を使用した疑いがある』というもの」
トーマス「ふーむ」

GM「惑星ラドスタットに到着しました。どこに降下船をおろしますか」

 惑星ラドスタット
 人口:120万人。
 都市:首都カーリ。都市ドル。
 惑星表面:巨大な内海がある他は、ほとんどが平原と荒れ地。
 主要産業:牧畜。
 地上兵力:メック2個小隊。(各都市に1個小隊ずつ)
 航空兵力:なし。
 対宙レーダー:あり。

トーマス「やっぱり都市の住民にみつからないくらいの距離」
GM「うん。みつからずに降りることができた」
ジーン「そこからジープで町へ行きましょう」
フェイミン「だれかに降下船の番をしてもらおうか」
ジーン「ティラ=ミラボーグさんはこの国の軍人だっけ?」
トーマス「そうだ、じゃあ、この人についてきてもらって。カタクラさんは病み上がり(前回のシナリオで負傷している)だし、残ってもらおうか」

 PCたちは町までジープで移動する途中、町のとなりにメック基地があるのを見つけます。そこで夕方まで張り付いて、メック部隊の編成を知ろうとします。

GM「20トンのファイアボール、45トンのファイアスターター、70トンのギャロウグラスが2機。あわせて1個小隊を確認できるね」

トーマス「まず、いつごろフェランが到着するのかと、収容先はどこかを調べなくては」
フェイミン「年上に見える変装をして酒場に(笑)」(←未成年である)
GM「民間人っぽいのとか、軍服を着た人たちとか、空港の職員のような制服の人とかいるけど」
フェイミン「軍人の話を聞き耳」
GM「じゃあ、内海に浮かぶ島に収容所があるとか、内海までメック3機で護送して、船の上にもメック1機が乗っていくとか、聞き取ることができたよ」
フェイミン「島かあ」

トーマス「地図を買ってきて島の位置を調べよう」
GM「海岸から数kmの位置にある島のようだね。南北4km、東西2km程度の島。メックでも海に浸かりながら行けないことはない。」
トーマス「事前に下見をしておきたいな。釣り人の振りをして」
ジーン「船はどうするの」
フェイミン「近くに漁村くらいあるだろう」

 PCたちはなんとか船を借りることができました。釣り人の格好をして島の周りを回ります。

GM「島の形はこんなかんじ(地図を見せる)」
フェイミン「ここいらに上陸してくれるかな。ちょっと歩き回ってみる」
GM「まあ、まだ囚人がいないので、警備は手薄だけど。上陸できたよ」

 フェイミンは波止場の倉庫などを見回った後、見張り塔の死角から塀を乗り越えて、収容所の中にまで侵入します。しかし、死角から収容所の建物まで見張りに気付かれずに近寄るのは無理と確認し、収容所の建物に接近することを断念します。ふたたび塀を乗り越えて船まで戻り、引き返すことにしました。

トーマス「フェランが護送されてくる前日にあらかじめメックで海を歩いて収容所の近くに身を伏せておこう」
フェイミン「こけると大変だから、這った状態でいくぞ」
GM「じゃあ、かなり時間がかかったけど、なんとか島の近くに身を伏せることができた」
トーマス「突入は南側の塀のない崖からいこう」
ジーンフェイミン「了解」
GM「NPCのふたりはどうしているのかな?」
トーマス「ティラ=ミラボーグは小隊長のリンクスの予備シートに座っていてもらおう。カタクラ=ススムは降下船で待機」

GM「では、25日の昼になり、フェランの乗る降下船が惑星ラドスタットに到着した。宇宙港を出発した護送部隊は港につく。そして港からメック1機を乗せた大型船とともに島にやってくる」
フェイミン「よし、今攻撃すればメックを海に放り出すことができる」
ジーン「捕虜はどうなるの?」
フェイミン「忘れてた(笑)」
GM「君たちが攻撃しないのなら、船は波止場につき、フェランは護送車に詰め替えられて収容所に向かう。その横をメックがつきそう」
トーマス「まだまだ」
GM「フェランが収容所の建物に連れて行かれるのを確認すると、メックは波止場から船に乗って帰っていく」
トーマス「もう少し。夜まで待つぞ」

GM「はい、夜になりました」
トーマス「崖下のレベル1の水地まで近寄るぞ」
GM「気づかれずに来れたよ」
トーマス「よし、全員、起き上がって、崖上の見張り塔Aを攻撃だ」
フェイミン「流れ弾で下の建物に被害が出るかもしれない。エネルギー兵器だけで攻撃しよう」
トーマス「化けて出るなよ、と言いつつ、ER−PPCが命中」
GM「その一撃で見張り塔は兵士もろとも蒸発した。見張り塔Bが異常に気づいてサイレンを鳴らすぞ」
トーマス「全員、上陸。崖を登るぞ」
GM「うまく登れたかどうか<操縦=メック>で判定してくれ。失敗すると、転倒と同じダメージを受けるから」
ジーンフェイミン「成功」
トーマス「……こけた。痛たた」
フェイミン「登り切ったところで、見張り塔Bを攻撃します……全弾外れ」
ジーン「大口径レーザーが命中」
GM「それで見張り塔Bは沈黙した」
トーマス「では、ティラ=ミラボーグ女史にラサルハグ軍人の身分を利用して、ごまかしてフェランを連れ出してきてもらおう」
ジーン「『襲撃を受けた。捕虜を別の場所へ移送する』とか言って」
GM「じゃあ、うまく言いくるめることができたかどうか、知性度ロールを行なってもらおうか」
トーマス「この人、知性度10もある。一応、経験点を払って絶対成功に」
GM「うまく連れ出すことができたよ」
トーマス「フェランは装甲があって、接近戦しない機体の予備シートに……わたしの機体か(笑)。ティラ=ミラボーグはノ=ダチの予備シートに乗ってもらおう。よし、撤退するぞ」

 GMもプレイヤーも完全に水恐怖症のことを忘れています(笑)。なんのために海の中に収容所を設定したのやら。

GM「君たちが降下船へ向けて撤退する途中、降下船のカタクラ氏から連絡が入るよ。『自由ラサルハグ共和国の選出公(王子)がこの星系を訪れるそうです。選出公の護衛部隊がジャンプポイントを占有する前に脱出しなくては、この星に数十時間以上留められることにもなりかねません。その間に脱走に関わったことがばれてしまうおそれがあります。急いで帰ってきてください』」
トーマス「む。急ぐぞ」
GM「ところが、君たちと降下船の間に3機のメックが立ちふさがっているんですな。カタクラ氏が『メックの攻撃受けています。降下船は上空に避難するので、掃討してください。』というわけで、戦闘が20ターンを超えると間に合わなくなるからね」

 GM側の編成はファイアボール(20トン)、ファイアスターター(45トン)、ギャロウグラス(70トン)です。PC側の方が15トン重いという戦力比です。

 ファイアボール:移動力11/17/0。中口径レーザー2門、マシンガン1門。放熱能力10
 ファイアスターター:移動力6/9/6。火炎放射器4門(正面3門、背面1門)、大口径レーザー2門。放熱能力24
 ギャロウグラス:移動力4/6/3。ER−PPC1門、大口径レーザー2門、中口径レーザー2門、小口径レーザー1門。放熱能力36

フェイミン「1機は都市の防衛に残っているのか。それは好都合」
 

【第1ターン】
 お互い走りますが、まだ射線が通る位置まで接近していません。

【第2ターン】
 ファイアボールが突出してPC側の射線が通るところまで移動します。PC側は足並みをそろえて移動しています。このターンは命中打はありません。

【第3ターン】
 ファイアボールを射程に捉えようとジーンラプターが突出します。ファイアボールも目一杯移動して移動修正をかせぎつつ、中口径レーザーの射程にジーンラプターを捉えます。
 ファイアスターターも主戦場に到着します。
 最初の命中打はGM側からでした。ファイアボールは中口径レーザーを1本ジーンラプターに命中させます。これがラプターの胴中央に命中します。この命中は、実は痛い一撃でした。
 一方、ファイアボールの移動だけでも+4もの修正がかかるため、ジーンの射撃はすべて外れます。

【第4ターン】
 トーマスリンクスフェイミンノ=ダチに囲まれることをおそれて、ファイアスターターは後退します。代わって、ギャロウグラスが主戦場を射程に収め、不用意にファイアスターターを追ったトーマスフェイミンに主兵装を浴びせ掛けることのできる位置につきます。ファイアボールはレベル3高地に登って脚力の劣るジーンラプターを翻弄します。

 このラウンドはGMのダイスが暴走しました。

GM「みごとにこちらの射程に踏み込んできたなあ。ER−PPCも大口径レーザーも命中。場所はER−PPCが……頭部。もうひとつが……また、頭部(汗)」
トーマス「沈んだ(笑)」
GM「エッジがないキャラクターは恐いなあ。そういえばフェランは一緒に乗っていたんじゃないのかな。脱出時の操縦ロールはトーマスのものを使うことにしようか」
トーマス「気絶すると脱出するとき怪我しやすくなるので、頭部命中による気絶判定は経験点を使おう……成功。それから脱出……(トーマス)怪我した、(フェラン)怪我した。トーマスの生命点が10点しか残っていません(生命点40点でダメージ30点)。負傷による致命的命中は起きていない」
GM「フェランも致命的命中は起きていない。満身創痍のトーマスはフェランが連れて避難しよう」

GMファイアスターターの射撃。大口径レーザーがフェイミンノ=ダチに命中。場所は……また頭部かい」
フェイミン「気絶判定に生き残れる体じゃないから、さすがにそれはエッジを使って振り直させる」
GM「場所は……右腕だ」

 結果として、エッジの有無が二人の明暗を分けたことになります。

トーマス「沈む前に撃っていた射撃の解決。中口径レーザー全部がギャロウグラスに命中……胴中央致命的命中。ジャイロとジャンプジェットに致命的命中。2門目は頭部。3門目は左胴。4門目は左腕」
GM「気絶はしていない。でも転倒はしている」

【第5ターン】
 両方の部隊が入り乱れての乱戦になります。GMトーマスリンクスが沈んだことによる戦力の差を何とか埋めようと、ファイアスターターノ=ダチの右正面に接敵させます。また、ギャロウグラスを、伏せからの射撃ができるにもかかわらず、無理に起き上がりを試みさせて転倒によるダメージを累積させます。

フェイミン「そこのファイアスターター、ソードで殴れる位置にいるじゃないか」
GM「しまった(笑)」
フェイミン「不注意に近づいたのが運の尽きだ。撫で斬りにしてやろう。ソードがファイアスターターの左脚に命中」
GM「おっと、中枢まで入った。下腿アクチュエイターが破損した」

 ちょっと甘かったかもしれませんが。バトルテックは一瞬でパーティの主戦力が失われることがあるゲームです。これくらいの手加減はGMの裁量内でしょう。といっても毎回毎回手加減を期待されても困りますが。
 GMがわざと手加減をする、ということについては賛否両論あるのでしょうが、わたしはたいていこういうスタイルでマスタリングをしています。

 ちなみに、ファイアボールは機動力に物を言わせてジーンラプターを翻弄します。ファイアボールの火力は低いのですが、ダメージが装甲の薄い胴中央に集中しています。8点しかない装甲はすでに失われ、中枢に損傷を生じています。

【第6ターン】
 ジーンラプターファイアボールが足を止めて撃ち合っています。そこにノ=ダチファイアボールに接敵し、ファイアスタータージーンラプターに接敵します。

フェイミン「MRM20がファイアスターターに命中。腰と大腿駆動装置を壊しました」
ジーン「大口径レーザーが命中」
GM「ダメージが20点に達してるなあ……転倒した」

GMファイアスターターがこける前に撃っている射撃を解決しようか。火炎放射器がジーンラプターに命中。場所は……胴中央」
ジーン「沈みました。胴中央が完全破壊されました」
GM「え? そんなに削れていたのか」

 これで事実上ノ=ダチファイアボールの対決となりました。脚がほとんど破壊されているファイアスターターはともかく、ギャロウグラスはまだ起き上がってくる可能性があります。

フェイミン「ソードがファイアボールの右腕に命中」
GM「一気に右腕から右胴まで斬り落とされたな。右胴の中枢が2点だけ残っている状態だ」

【第7ターン】
 1対2になるのを避け、PC側は経験点を払ってギャロウグラスを転倒させたままにしておきます。ノ=ダチのMRM20がファイアボールを襲いますが、装甲のある部分を狙ったように分散します。それでも胴中央、左胴の装甲が薄くなったことが勝負を決めました。

フェイミン「ソードが再びファイアボールに命中」
GM「右胴、胴中央、左胴のどこに入っても終わりそうだな」
フェイミン「場所は……右胴」
GM「右胴は落ちて、ダメージが胴中央に移行して、胴中央も失われた。うん、完全破壊されたね。起き上がっているメックは残っていないことだし、降伏しようか」

ジーン「パーティの被害が甚大です」
トーマス「降伏したメックを1機もらっていこう」
ジーン「いいんですか?」
フェイミン「大丈夫。氏族(クラン)が持っていったと思われるだろうから。氏族の偉いさんを救出しているんだ、我々は氏族の戦士だと思われているはずだ」
トーマス「じゃあ、70トンメックをもらっていこう」
 

GM「救出されたフェランの話がまだだったね。
 『わたしはウルフ氏族のフェランという。わたしは中心領域の人々と知り合うことで、彼らは決して野蛮人ではないということを知った。この戦争の大義は我々氏族の上にはない。しかし、レオ=シャワーズ大汗はそのことを認めようとはしない。
 ……じつは、わたしはレオ=シャワーズ大汗を失脚させる材料を持っている。タートルベイのエド市への衛星軌道上からの爆撃がレオ=シャワーズ大汗の命令で行なわれたという証言だ。これさえあればレオ=シャワーズは大汗の座にいることはできなくなる。
 もし次の大汗が和平派の人物なら、氏族と中心領域との和平交渉が始まるかもしれない』」
 

GM「さて、君たちの降下船が航宙船にたどりつき、脱出するためにジャンプポイントに向かっているところだ。『この様子なら選出公が到着するよりも早く脱出できますな』とカタクラ氏が言ったとき、ジャンプポイントにワープインしてくる艦隊がある。『予定よりも早いぞ』とカタクラ氏。みんな知性度ロールを行なってくれるかな」
トーマス「成功」
GM「ワープしてきた艦隊は氏族の艦隊だということに気づいたよ」
フェイミン「じゃあ、フェランを引き渡して任務完了かな」
GM「『いや、待ってくれ。あれはレオ=シャワーズ大汗の旗艦ダイアウルフだ』とフェランが制するよ。『わたしが彼を失脚させようと動いていたことは彼も知っています。捕らえられれば謀殺されるおそれがあります。彼に捕まらないように脱出しなくてはいけません』と言う」
トーマス「なんとかジャンプできるくらいジャンプポイントの中心に近寄れないかな」

GM「君たちが苦労して近寄ろうとしているところに、選出公の艦隊が到着する。どちらの艦隊も相手の存在に驚いているようだね。そのうち戦闘機が次々と発進して戦闘を始める。氏族側が20機、自由ラサルハグ共和国側が12機だ。
 そのうち氏族側の戦闘機が3、4機ほど君たちの方に向かってくる。それを迎撃しようとティラ=ミラボーグとカタクラ=ススムが出撃する。
 レオ=シャワーズの勧告が宙域一帯に流れるよ。『この宙域目指して氏族(クラン)の部隊が結集しつつある。無駄な抵抗は止めて降伏しろ』とね。

 そこにカタクラから入電がある。『ミラボーグ機が被弾した。回収用意をしてくれ』と。
 ミラボーグ機は機首が破損してLRM発射筒3門にACと、全武器が破壊されているようだ。ティラ=ミラボーグから報告がある。 『武装オールレッド、推進性オールグリーン。推進剤(燃料)・アモ(弾薬)ほぼ満載』
 続いてカタクラ氏が『どこへ行く。引き返してこい』と叫ぶ。ミラボーグ機が氏族の部隊の中心目指して突っ込んでいくのが見える。
 ティラ=ミラボーグから『ジャンプポイントの中心を空ける。そこから脱出しろ。向こうの選出公の艦隊にも伝えてくれ。わたしは自由ラサルハグ共和国の戦士だ』と通信が入る。

 ミラボーグ機は氏族の戦闘機を回避して氏族の旗艦ダイアウルフに接近し、そのまま体当たりをする。一瞬で推進剤と弾薬に誘爆し、衝撃がダイアウルフの軌道を狂わせる。そのままダイアウルフはジャンプポイントを回る軌道を外れていく。旗艦を守るために氏族の戦闘機は旗艦とともにジャンプポイントから離れていく。

 選出公の艦隊はそれを見てジャンプポイントにはいり、そこからワープアウトしていく。」
フェイミン「あーあ、仕方がないなあ」
トーマス「我々も脱出するぞ。ジャンプポイントに向かう」
GM「帰還したカタクラ氏を乗せて、君たちの航宙船はジャンプポイントから近くの氏族の領域を目指してワープする」
 

《結末》

GM「ウルフ氏族の領域内でフェランが船を降りる。『ありがとう。ここからは氏族の領域内だ。この先はわたしが戦わなくてはいけないだろう。少なくとも、今後タートルベイのようなことはおこさせないつもりだ。それでは、和平が実現して、今度は平和な関係で再会できることを望むよ』というとフェランは氏族の世界へ帰っていった」

GM「惑星コーベへの帰途、ニューズが入るよ。レオ=シャワーズ大汗はティラ=ミラボーグが突撃したときの衝撃で死亡。新たな大汗を決めるために、全ての氏族が侵攻を一時中断して引き返していった、という話だ。TV放送される映像に、侵攻の一時中断を呼びかけるウルフ氏族の汗ウルリック=ケレンスキーとその傍らのフェランの姿が映っているね」
 

 こうして3050年10月末から約一年間のあいだ、氏族(クラン)の侵攻は休止した。フェランの意志は今はまだ実現しない。”追放された”ウルフ氏族として一応の結末をみるまで、6年の歳月とさらに多くの血が流されることになる。
 
 

トーマス「今回の経験点でエッジを1つ獲得しました」
フェイミン「こちらもエッジを1つ追加」
ジーン「<射撃=メック>を3レベルに上げました。射撃の目標値が5です」

 どうやらエッジの重要性に気づいたようです。今回のプレイも含めて、どのプレイでも決してGMはダイスを操作していません。わたしはここ数年、オープンダイスしかしていないので。
 プレイヤーにとっては(GMにとっても)ちょっと恐いのですが、オープンダイスだからこそダイスにまつわるドラマが見られるのだと思っています。



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