作者ラブクラフトについて
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 現在「クトゥルー神話」と呼ばれている世界観を作り上げたのが、ハーワード・フィリップ・ラブクラフト(ラヴクラフト)です。

 彼に対する批判はいくつもありますが、そのほとんどは時代の制約に関するものです。現在では歓迎されざる思想であっても、当時はそれなりに普及していた思想がほとんどです。

 彼は人種主義者でした。白人は他の人種よりも優れていると固く信じており、白人と有色人種との混血に「退化」という語を多用していました。彼の作品の多くでは、白人以外の人種に対して非好意的な描き方をしています。
 当時は人種的な偏見が現在よりもはびこっていました。ラブクラフトもまた、それらの思想の信徒だったのです。

 同時に、人類の分化発生説を支持しており、人種はそれぞれ別の原人から独自に進化し、人間は一つの種ではなく、種のレベルで隔たっている、と信じていました。
 1920年台という時代は、人類の分化発生説が衰退していった時期ですが、まだまだ根強く残っていた時期とも言えます。人種主義者たちにとって、人種間が大きく隔たっている、という説は、精神のよりどころでもありました。

 また彼はファシストでもありました。
 一次大戦後のドイツはアメリカの同盟国であり、ある時期まではヒトラーもアメリカの同盟者でした(サダム・フセインがそうだったように)。ラブクラフトの時代にファシストであることは、必ずしも否定的な意味合いを持つわけではありませんでした。

 ラブクラフトの作品には、これらの思想が色濃く反映されたものもあります。ゲームキーパーはその裁量で取捨選択をおこなうべきでしょう。



 ラブクラフトの作品にしばしば登場し、中期以降の作品では『ネクロノミコン』の作者とされたアブドゥル・アルハズラッド(アブド・アラルザッド)はラブクラフトの分身でもあります。
 「『アラビアンナイト』を読んでアラブ人になりたくてたまらなかった五歳のときに、誰かおとなの人が(誰だったか思い出せません)わたしのためにつくりだしてくれたもの」(『ラヴクラフト全集』第3巻「作品解題」)



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