グルダンGul'DanはサーゲラスSergerasの墓所の位置を探ろうと、アゼロスにいるメディヴMedivhと魂の交信を行っていました。サーゲラスの遺品を手に入れれば、グルダンは定命のものには太刀打ちできないほどの魔法使いになることができるはずでした。
しかし、この交信の最中に事故が発生します。アゼロスの戦士たちがメディヴの塔に侵入し、メディヴを殺してしまったのです。
彼の死は、彼と精神を感応させていたグルダンの魂を打ちのめしました。グルダンはこの影響で意識を失い、数週間にわたって昏睡状態に陥ります。
これを好機と見たのは、オーグリム・ドゥームハマーOrgrim Doomhammerでした。彼は揮下の一軍を率い、ホードのウォーチーフ、ブラックハンドBlackhandを襲撃したのです。不意を衝かれたブラックハンドはあえなく首をドゥームハマーに授けます。ブラックハンドの首をかかげてドゥームハマーが勝利宣言をおこなうと、ホードの大半はドゥームハマーに降りました。
さらにグルダンにとって不幸なことは、グルダンの子飼いの暗殺者、ハーフオーク=ドラエネイDraeneiのガロナGaronaがドゥームハマーに捕らえられたことでした。
史上最も優秀な暗殺者とされるガロナも拷問には耐え切れず、影の評議会Shadow
Counsilの拠点を吐いてしまいます。
ドゥームハマーはストームウィンド廃墟近くの砦に潜んでいた影の評議会を強襲し、これを壊滅させます。
グルダンが昏睡から目を覚ますと、彼の権力はすべて失われ、オークを影から支配していた影の評議会は失われていました。
ドゥームハマーはグルダンを助命します。最後の純粋な魔術師となったグルダンの力がいずれ何かの役に立つと思ったからです。
事実、グルダンはドゥームハマーのためにデスナイトDeath Knightと呼ばれるアンデッドを作り、ドゥームハマーの歓心を買いました。
(このデスナイトは後のデスナイトとは別の存在です。三次大戦以降のデスナイトは、自らの意思で、あるいは精神を支配されて意思にそわぬままに、リッチキングの軍門に身を投じたパラディン=生きた人間です。)
影の評議会を失ったことで、オークにはバーニングレジオンの指示が届かなくなりました。そのため、これ以降はただ血の呪いだけがオークたちを突き動かしていくことになります。
オーグリム・ドゥームハマー自身は、これが遠い将来のオーク解放への第一歩となっていることを知る由もありませんでした。